HSP・エンパスが自分の感情を守るためにできること|共感疲れに効く感情バウンダリー術
HSP・エンパスが自分の感情を守るためにできること|共感疲れに効く感情バウンダリー術

共感疲れとは何か|優しさゆえに疲れる人たちへ

「人の気持ちに寄り添えるってすごいことだよ」


そう言われて、うれしい反面、正直少しだけモヤッとしたことはありませんか?

私自身、HSP気質があり、周囲の空気や相手の感情に敏感に反応してしまいます。

人の感情に敏感で、他人の不機嫌な感情が自分の中に入ってきたような感覚で、最初はこれが自分の感情なのか相手の感情なのかもわからず混乱していたことを思い出します。


相談に乗っていたつもりが、気がつけば自分のほうがぐったりしていたり、なんてことも。


自分の感情なのか、誰かの感情なのか、境界線がわからなくなってしまう。


そんな日々に疲れきっていた時期がありました。

この記事では、同じように共感疲れに悩むHSP・エンパス気質の方に向けて、感情バウンダリーという心の境界線をどう築くかをお伝えします。

心理学・神経科学の知見も交えながら、私が実際に取り入れて効果を感じた具体的な方法もご紹介するので、今日からすぐ実践できるヒントを見つけていただけるはずです。

HSP・エンパス・感情バウンダリーの基本知識

1. HSPとは? ― 五感と心が敏感な人の特徴

1. HSPとは? ― 五感と心が敏感な人の特徴

HSP(Highly Sensitive Person)とは、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士によって提唱された概念で、刺激に敏感で、感情や人の気持ちを深く察知しやすい特性を持つ人のことを指します。


HSPの人は、以下のような特徴を持つことが多いです。

  • 人混みや騒音、強い光に疲れやすい

  • 人の感情の変化にすぐ気づく

  • 忙しいスケジュールやマルチタスクが苦手

  • 芸術や自然に強く感動しやすい

HSPは病気ではなく、脳の感受性の違いに過ぎません。人口の約15〜20%がHSPであるとされており、持って生まれた気質の一つです。

2. エンパスとは? ― 相手の感情を自分のことのように感じる人

2. エンパスとは? ― 相手の感情を自分のことのように感じる人

エンパス(Empath)は、他人の感情やエネルギーを強く受け取り、自分の感情のように感じてしまう人を指します。HSPと似た部分もありますが、エンパスは共感力が非常に高いことが特徴です。

  • 怒っている人が近くにいるだけで、自分まで不安になる

  • 他人の悲しみに深く影響され、涙が出る

  • 人の嘘や本音が直感的にわかってしまう

  • 動物や自然との深い絆を感じる

エンパス気質を持つ人は、人助けが得意な一方で、共感疲労や自己犠牲に悩まされることも多くなります。

3. 感情バウンダリーとは? ― 自分と他人の感情の境界線を引くこと

3. 感情バウンダリーとは? ― 自分と他人の感情の境界線を引くこと

感情バウンダリーとは、自分と他人の感情を明確に切り分ける心理的な境界線のことです。

HSPやエンパスの人が心の健康を保つためには、この感情的バウンダリーが非常に重要です。

感情バウンダリーがない状態の例とバウンダリーを整えた状態の効果・変化

感情バウンダリーがない状態の例バウンダリーを整えた状態の効果・変化
他人の怒りや落ち込みを自分の責任のように感じてしまう「これは相手の問題、これは自分の感情」と冷静に切り分けられる
「NO」と言えず、自分を後回しにしてしまう他人の感情に巻き込まれず、自分の軸で判断できる
感情が人に引きずられ、自分の本心がわからなくなる結果的に、人との関係がより安定し、信頼も築きやすくなる

4. なぜ今、感情バウンダリーが注目されているのか?

SNSやリモートワークの普及により、私たちはこれまで以上に他者の感情に触れる機会が増えています。

その中で共感力の強さが逆にストレス源になるケースも増加。

特に、HSPやエンパスの人は心が疲れやすい社会に生きていると言っても過言ではありません。


だからこそ、感情に振り回されない境界線=感情バウンダリーが、これからの心のセルフケアとして必要とされているのです。

境界線が薄い人の特徴とチェックリスト

◆ なぜ感情の境界線が必要なのか?

心の境界線(バウンダリー)は、自分と他人の感情・責任・エネルギーを分ける心理的なラインです。


このラインが薄いと、他人の気分や言動に過敏に反応してしまい、自分を見失う・疲れやすくなるなどの問題が生じます。

◆ 境界線が薄い人のよくある特徴

項目内容
過剰な共感相手の怒りや悲しみに強く影響され、自分も同じように落ち込む。
NOが言えない嫌な誘いも断れず、無理して付き合ってしまう。
罪悪感が強い自分の感情や希望を優先すると、すぐに「申し訳ない」と思ってしまう。
自他の境界が曖昧「相手の感情=自分の責任」と感じやすい。
気を遣いすぎる空気を読みすぎて、自分の意見が言えなくなる。
慢性的な疲労感人と会った後、異常にぐったりする。
自分がわからなくなる他人に合わせ続けて、「自分は本当はどうしたいのか?」がわからない。

◆ あなたは大丈夫? 境界線の薄さチェックリスト(YES/NO)

以下の質問に、YESが多ければ多いほど、バウンダリーは薄くなっているサインです。

質問項目YES / NO
相手の不機嫌が自分のせいだと感じやすい□ YES / □ NO
自分の意見を伝えるのが怖い□ YES / □ NO
断ることに強い罪悪感を感じる□ YES / □ NO
感情が人に振り回されやすい□ YES / □ NO
人に頼まれるとNOと言えず、後悔することが多い□ YES / □ NO
人と接した後、どっと疲れることが多い□ YES / □ NO
自分の本音がわからなくなることがある□ YES / □ NO
人の問題に首を突っ込みすぎる□ YES / □ NO

YESが4つ以上の方は、バウンダリー設計が必要な可能性があります

◆ 専門家の見解(信頼性・権威性)

心理カウンセラーの間では、境界線が薄い人はいい人として育てられた傾向があるとも言われています。

幼少期から「我慢しなさい」「人に迷惑をかけてはいけない」と言われ続けた結果、自分より他人を優先することが当たり前になっているケースが多いのです(参考:武田友紀『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本』

◆ 経験的アドバイス(筆者の実体験)

著者のイメージ写真

筆者もかつては、人の一言や態度に一喜一憂し、職場や家庭で「なんか疲れる…」と感じていました。

落ち着く空間が一瞬たりともないのは酷な現状です。


しかし、自分と他人を切り分ける感情バウンダリーを学び、実践するうちに、無理に我慢しなくても人と心地よい関係が築けることに気づきました。

◆ 境界線は冷たさではなく優しさ

◆ 境界線は冷たさではなく優しさ

バウンダリーを持つことは、冷たいことでも、自己中心的なことでもありません。


私はここまで。

という明確な線を引くことは、お互いを尊重することになります。

それが、真にあたたかい人間関係の土台になるのです。

■ 日常で感情境界を育てるセルフケア習慣7選

HSPやエンパス気質の人は、「他人の感情を自分のことのように感じ取ってしまう」傾向があります。

だからこそ、自分の心の境界線を日々の暮らしの中で育てていくことが大切です。

ここでは、共感疲れをやわらげるために効果的なセルフケア習慣を7つご紹介します。


1. 朝に「今日の自分の感情」を言語化する

1. 朝に「今日の自分の感情」を言語化する


感情の境界線は、まず自分の感情を把握することから。

朝起きたら「今、私はどう感じている?」と問いかけてみましょう。

小さなモヤモヤでもOK。

紙に書き出すことで、感情の主導権を自分に戻す

朝に感じた多幸感から、一気に急降下したネガティブな感情になってしまった際などでも、

朝に自分の感情を言語化しているので、急に訪れたネガティブな感情に対しても客観的に見る視点が生まれます。


2. 他人の感情は「風」とイメージする

2. 他人の感情は「風」とイメージする


他人の怒りや不機嫌を「風が吹いているだけ」とイメージしてみてください。

受け止めるのではなく、通り過ぎるものとして扱う感覚が境界を守ります。

どれだけ願おうとも、時は過ぎゆき、次の現実が現れます。

一瞬の出来事に縛られることは、過去に縛られることと同義です。

風をイメージし、身体の感覚を研ぎ澄ますことで、他人の感情を客観視することができるようになります。


3. 香りや音で「自分の空間」をつくる

3. 香りや音で「自分の空間」をつくる


アロマや好きな音楽は、五感を通じて私だけの空間をつくる助けになります。

特に外出先では、ロールオンアロマなどを活用して自分を守る感情のシェルターを持ち歩くのもおすすめです。

私自身の実体験になりますが、「なぜか今日は寝苦しいな」と感じていた際に、アロマディフューザーを点けた途端、呼吸が深くなり、深い眠りに就くことができ、それ以来、香りの力を実感しています。


4. 「今それは私の問題?」と確認する習慣

4. 「今それは私の問題?」と確認する習慣


相手の機嫌が悪いとき、それは私のせい?とすぐに反応してしまう人は、課題の分離を意識してみてください。

課題の分離とは、「責任=感情のコントロールは誰がするべきか」ということです。

感情を読み取ることは素晴らしい能力ですが、その感情をコントロールすることは相手への尊重とは呼べません。

代わりに解決してあげることは正義ではなく、その場にいる自分自身の課題にフォーカスをすることが重要です。


5. SNSやニュースから距離を取る時間を持つ

5. SNSやニュースから距離を取る時間を持つ


感情に敏感な人ほど、オンラインの情報にも疲れやすいもの。

1日30分だけでもスマホを手放して感情のノイズをシャットアウトする時間をつくりましょう

別記事でも紹介していますが、起床後の1時間・就寝前の1時間のデジタルデトックスは自分自身の感情を守るうえでとても有効です。

「ドーパミン中毒」から脱却!集中力を高めるためのデジタルデトックス習慣

また、1日17分という短い時間を瞑想・メディテーションの時間に充てることも有効なアイデアです。

セブンティーン・メディテーション|1日17分で整える、脳と心の静けさ


6. 「NO」と言う練習を小さく始める

6. 「NO」と言う練習を小さく始める


感情バウンダリーの要は断る力

自分に合っていないことを無理にすることが、自分にとっても、また相手にとっても長い目で見ればメリットは一つもありません。

まずは小さな場面で「今日は無理かも」と口にしてみてください。

罪悪感があっても大丈夫。境界線は、断ることでしか育ちません


7. 心が疲れた日は「自分最優先DAY」にする

7. 心が疲れた日は「自分最優先DAY」にする


誰かのために動きすぎて疲れてしまった日は、自分の好きなことだけをする私だけDAYを決めましょう。

誰にも共感しない・反応しない時間が、感情の回復には不可欠です。

日ごろ、何かを背負って人は生きています。

しかし、本当はこの広い宇宙の中の地球という星の上での遊びなのです。

何も持たず、身軽な存在であることを思い出す上で、ひとりになる時間とはとても有益です。

皆それぞれ様々な事情がありますが、少し勇気を振り絞って、ひとりに慣れる時間を作ってみませんか?


日々のちょっとした習慣こそが、感情の境界線を育ててくれます。

バウンダリーは防御ではなく自分を大切にするやさしい線

無理なく、少しずつ始めてみてくださいね。

【補足解説】課題の分離とは?

課題の分離は、心理学者アルフレッド・アドラーが提唱したアドラー心理学の中心的な考え方の一つです。

◆ 基本的な考え方

「誰の課題か?」を見極め、自分の課題と他人の課題を明確に分けて考えるという方法です。

たとえば:

  • 「相手が機嫌が悪い」→それは相手の課題
  • 「自分がそのせいで疲れている」→それは自分の課題

このとき、相手の感情や反応までコントロールしようとするのではなく、自分ができることだけに集中することが大切です。

◆ HSP・エンパスにとっての意味

HSPやエンパスの人は共感力が高いため、他人の感情や不機嫌さを「自分の責任」と感じやすく、無意識に巻き込まれてしまいます。

しかし、「これは相手の問題。私が背負うものではない」と切り分けることで、心のエネルギーを守ることができます。

◆ 実践ポイント

記事本文で紹介していたこのセルフケア習慣と組み合わせると、課題の分離がより実用的になります:

  • 「今それは私の問題?」と確認する習慣
     → 課題の分離を意識する第一歩としてぴったりの問いかけです。
  • 「風」とイメージする
     → 感情を自分の中に取り込まず、通り過ぎるものとして捉える=自分の課題にしないという意味でも効果的です。

自分を守ることは、やさしさを持ち続けるために必要なこと

共感できる力は、HSPやエンパス気質の人にとって大きな魅力であり、周囲を癒す才能でもあります。

けれど、それを持ち続けるためには自分の感情を守ることができる・他者との距離を保つことができるという前提が必要です。

誰かの悲しみに寄り添いたいときも、自分の心が満たされていなければ、やがては消耗してしまいます。

相手の感情がわかっても、それを押し付けるように癒しては相手への尊重を書くことになります。

癒すことはコントロールや支配の感情を持たないものだからです。

境界線を引くことは、冷たくなることではありません。

「ここから先は私の内側」「これは相手の課題」——そうやって見えない線を引けるようになることで、本当に大切にしたい人にもやさしさを持って向き合える自分でいられるのです。

感情の境界線は、生まれつき備わっているものではなく、日常の中で少しずつ育てていくもの。

無理に変わろうとしなくても大丈夫。まずは、あなた自身の気持ちに耳を傾けることから、静かに始めてみてください。

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